豪州の2万メガ太陽光に対抗するには原発と蓄電所?!
~ 2022年以降のエネルギー事情の洞察 -その1- ~
今年の年末年始は、日本の臍(へそ)の雪の中で過ごしました。やっぱり、飛騨高山は、肩の力を抜いた、本来的なSDGsな町でした。
屋久島に次いで、サーキュラーコミュニティに最も近い町だと見て取れました😊
さて、年初ですので、地政学・地経学の視点を入れて、本年以降の日本のエネルギー事情を洞察します。
まず、カーボンニュートラルやエネルギーの安定供給に関する世界の動きは、その規模もスピードも日本とは桁違いです。スタープレーヤーはTESLAだけではありません。
年初のネットニュースにて、オーストラリアのトップがイーロン・マスク氏の様な会社が自ら2.5兆円を投資して、日本で言う野立てで20,000メガの太陽光発電所と42,000メガの「蓄電所」を建設し、それを、4,200㎞も離れたシンガポールに高圧直流海底ケーブルで送り、シンガポールをアジアへのクリーエネルギーの供給ハブにする計画(海底ケーブは2028年に完成)をブチ上げ、記事になっていました。もちろん、国を巻き込んだ動きです。
こうした中、ロシアがウクライナ周辺からの撤退の姿を見せたことから、一旦は欧州との緊張関係が緩んだかに見えますが、再び進出は繰り返されますし、NATO軍のミサイル基地も同様です。今回の天然ガスの世界的な供給不足も、ロシアから天然ガスを送って来るパイプラインの“栓”が閉められることを恐れた欧州が世界中から天然ガスを買い漁った結果、引き起こされました。
こうしたことを背景に、今年の元旦、とうとうEUはエネルギー安全保障の観点から、原発回帰に舵を切りました。1月10日に承認されます。昨年来、ECタクソノミーにおいて持続可能なエネルギーに原子力発電所からの電気を加える準備を着々と進めて来た結果です。
これで、原発回帰は世界の潮流になりますと言うか、なりました。いよいよ、安全性を高度に担保した「小型モジュール炉(SMR)」を使った原子力発電所の開発・建設競争が始まります。世界的レベルで。高等専門学校で、半導体の技術者を養成するのもいいですが、大学における原子力を学ぶ学部・学科、学生の減少こそ食い止めるべきだと考えます。
そして、その時に備えて、日本でも安全な原子力発電技術(運用を含)の議論を重ねておかなくては、永遠に世界の二流国になります。いよいよ本格的な議論を経て、結論を出す時が来ました。本来であれば、今夏の参議院議員選挙の争点のひとつになるべき国の将来を大きく左右する話ですが、この国では、そうなりません。
国民の表層的な原発アレルギーに腰が引けた政治家しか生存しておらず、まさに、政治三流の国です😿年初から、悲しい話をしてすみません。
一般社団法人 SDGsビジネス総合研究所
理事長 村井哲之