ここに来て、関西における食品スーパーの草分け的存在である関西スーパーマーケットを巡っての、阪急グループと関東の最強ディスカウントスーパーのオーケーとの間での買収合戦やら、中四国でGMSからいち早く食品スーパーに鞍替えして生き残った大手スーパーのフジの、既定路線ではあったもののイオンによる完全買収の報道を受け、多くのスーパーの経営トップから「事の真相はどこに!」の連絡を頂きました。
事の真相は難しくもなんともなく、コロナ禍でこの1年、言葉はよくないことを承知で書かせて頂けば、“神風”が吹いただけで、以前からの“オーバーストア”と言う致命的な課題(業界の構造上の欠陥)は、何一つ解決をしていなかったと言うことに尽きます。
15年間以上、食品スーパーマーケット業界のコスト最適化であり、収益化に関わってきた身としては、5年前に、購買人口を店舗数で割って、商圏人口を算出した際に、それが、標準的な食品スーパーマーケットが成立すると言われいる数字(商圏人口)を遥かに下回っていることに気付きました😿
つまり、スーパーが生き残る術は、お互いが話し合っておらが“島”を決めて、競合をしない状況を地域のスーパー間だけででも創り出すか、その地域で(経済ブロック:九州とか、中四国とか、関西と言う単位で)売上高1兆円の連合体を新たに結成するかのどちらかしかない!が、小生なりの結論でした。
コロナ禍の特需が剥がれ落ち始め、最も恐れているネット(デジタル化の流れの中)での食品(食糧・商品)の注文も増えているのでしょう。スーパーの経営者は、お店まで行くのがしんどくなった田舎の爺ちゃん、ばーちゃんの為に、東京の息子がネットで食品を注文して届けている実態を知りません。人口も、2030年には、今から600万人(千葉県の人口)も減るわけです。
こうした状況の中で、先ず、“地域1兆円”の連合体作りが進んでいるだけです。
・阪急オアシス+イズミヤ+関西スーパー+(先々)万代=7,790億円
・マックスバリュ西日本+マルナカ+山陽マルナカ+フジ=8,800億円
ですので、TOBを考えていると言っているオーケーは、敵対的TOBはしないとも言っており、要は、持っている7%の株式を阪急に高く買ってもらっての手仕舞いです。小生の辞書には、「TOB」には、“敵対”しかありません😊
私が、食品スーパーの収益化をGoalsに経営をしている村井流通経営研究所は、
“バックヤードに競争はない!”を旗印に、売上では競争をしても、こと、コストの最適化に関しては、お互いに経営資源の共有化を考えましょうと言うことで、店舗における設備・機器の情報のクラウド化(流行りで言えば、“DXの推進”)を通じた共有型経営プラットホーム創りを画策して来ました。(今も、しています)
これに、“SDGsの大潮流”を最大限活用しての地域におけるサーキュラーエコノミーであり、サーキュラーコミュニティ創りの中で、お互いに商売のテリトリー(“島”)を決めることで、本来の社会であり地域貢献に応じた確たる利益の確保と企業としての地位、及び、持続可能性を確立・担保して行くことを考えていました。
こうなると、チラシもなくなり、商品の見栄えを必要以上に良くするための設備投資も減るでしょう。今あるものを長く使うことでのコストの最適化です。営業時間も、競合店の様子を見ながら、早めたり、延ばしたりすることもなくなるでしょう。セールの為の大量仕入れや、結果、需要を見誤った大量破棄もなくなります。1円の価格差を見ての車を使った買い周りも激減し、結果的に、温室効果ガスの排出量は大いに減ると思います😊
こうは書きましたが、一方で、デジタルの流れに飲み込まれ、結局はAamazonの
デリバリーの出発拠点(ピッキング倉庫を兼ねた店舗施設)であり、仕事帰りに注文済みの商品を引き取りに来るドライブスルーの様な場所(ピッキングポイント)になって行く姿も見えなくはありません😿
そんな中、彼らは、1兆円の連合体作りに血眼になり、一方で、それに対抗する立場の地場のリージョナル食品スーパーチェーンは、コロナ禍での思いがけない利益の大半を、未だに、競合店との差別化のための店舗改修に注ぎ込んでいる悲しい現実があります。
スーパーの規模に関係のない、経営者の「未来洞察」をする力とパーパス再構築に臨む勇気が真に問われています。
一般社団法人 SDGsビジネス総合研究所
理事長 村井哲之
〒104-0061 東京都中央区銀座6-6-1