脱炭素トラックで、2周遅れの国

SDGsBizの過去の『SDGsニュース』を時間があったので読み返していたら、”「カーボンニュートラルの実現に向けたカーボン・クレジットの適切な活用のための環境整備に関する検討会」は、カーボン・クレジットの活用に関して基本となる情報や今後のあり方を整理した「カーボン・クレジット・レポート」を発表”なる8月16日の記事を見つけ、そこに、排出権市場の実証実験をこれから始めると書かれているのを見て、愕然としました。

以前にも書きましたが、既に、欧州には、排出権取引のリアルなマーケット(ETS)があり、日々、排出権が取引をされています。

欧州の企業だけが市場を活用しているわけでなく、その最たる活用者がイーロン・マスクです。

 

 

 

毎四半期ごとの排出権の売却益は、4~5億ドル。最近では本体でも、きちんと利益が出せる様になっており、今やそれは収益源です。年間で、2千億~2千5百億円の純利益を生み出すわけですから!

 

 

 

過去に大規模な工場への投資をし、稼働率が上がらなく大変な赤字に陥りそうになり、株式市場の信頼を失いかけた際に同社を救ったのは、排出権の市場外取引で、同社から6千億円で排出権を買い取った欧州の大手自動車メーカーでした。

 

 

 

現在の同社の目標は、2030年度に、年間EV販売台数2千万台だそうで、売上高になおすと(1台4百万円で計算)、20,000,000台×4,000,000円=80,000,000,000,000=80兆円です。現在のトヨタが31兆円です。確かに、2千万台の車が全て、クリーンな電気で走ることによるCO₂の排出削減は、それはそれは、長年に渡り凄いものでしょうが、それまでに、2千万台の車を作る際に排出されるそれもまた、先行して膨大になります。

まあ、この辺りを論じると日が暮れますので、この辺りで・・・・。

 

 

 

今日の主張は、今更、国内で、排出権取引市場を立ち上げるなんて、1周遅れではなく、2週遅れの愚策は止めて、既にある市場に如何に賢く統合され、マスク氏の様にそれを徹底的に活用するかを考えるべきだと言うものです。これまで、法律にしろ、行政の制度を欧州に学び、取り入れて来た日本の官僚の方々は、今こそ、欧州の智慧を学ぶべきかなと思います。

 

 

 

因みに、最近のマスク氏の自動車会社の最大の排出権の販売先は、自社の大規模工場があるカリフォルニア州です。この、複雑な関係、皆さんは分かりますか?!😿😊


一般社団法人 SDGsビジネス総合研究所

 理事長 村井哲之